陰之流私
平沢家に伝わる陰流の伝書です。
元の書き下しの間違いはそれなりに直したつもりですが、
下の太字の部分はどう書き下したらよいのか分からないんで、そのままです。
夫兵法とは受者道の根源也。頗(すこぶ)る何ぞ勝事を乎(や)得ん。
右懸待表裏 此の二つに極れり併ら工夫を廻し分別する人、世に希れ也
爰(ここ)を以て其の名を雲上に挙ること堅し。就中此流少モ 為メ二無学一不可吽フ
一、初手に五ケの稽古あり。
一に立処、二 に見処、三 に切処、四 に程、五 に玉歩是也。
一 に立処とは、内鬼面如 に立つ可し。
二 に見処 とは、敵の剣の先 に目を付け其れより敵の二の?を見はなすべからず。
三 に切処 とは、太刀の当所切坪をはずしては如何。
四 に程 とは、敵に我太刀を打付る事は矢の如く、又引く所は用なるべし。是を以て程と云へり。
五 に玉歩 とは、玉の歩みなり。其心 に違わず四方を面と心得て、身成を尋常につかう処をげいといへり。
此の條初手の本文ナリ。
一、中手の趣キ、一 に見所、二 に誥(こう・つげる)所、三 に勝所、是也。
一 に見処 とは、何方をも打捨て敵の太刀の物打所、我目を付んこと、月鏡の如し。
二 に誥(こう・つげる)処とは、敵の剣の死の位に落ちつつ者堤の水を放が如懸可し。
三 に勝処 とは、一心ゝゝ一眼に留たり。為二臆一不可(臆すべからず?)吽フ。
極意の位 に至ては、一 に相所、二 に不合処。此の二甚(はなはだ)深也。可稔す。
一 に合処とは、敵の太刀吾が太刀切縮所掌(たなごころ)以て勝つ可し。
二 に不合処とは、心と眼と左足を以て勝つ可し。是三に一つも外れては勝ち難し。
又云勝間敷処を闘す是れ無手の根元也。勝つ可き処を勝不、是臆病の根元也。
在々書記す文の書、後世の我等愚鈍の如く為、陰之流私と号す。
努々他見有不可仍(よる)如件。
愛洲美作入道宗通
同源 常通 同主膳在通
元の書き下しの間違いはそれなりに直したつもりですが、
下の太字の部分はどう書き下したらよいのか分からないんで、そのままです。
陰之流私
元香夫兵法とは受者道の根源也。頗(すこぶ)る何ぞ勝事を乎(や)得ん。
右懸待表裏 此の二つに極れり併ら工夫を廻し分別する人、世に希れ也
爰(ここ)を以て其の名を雲上に挙ること堅し。就中此流少モ 為メ二無学一不可吽フ
一、初手に五ケの稽古あり。
一に立処、二 に見処、三 に切処、四 に程、五 に玉歩是也。
一 に立処とは、内鬼面如 に立つ可し。
二 に見処 とは、敵の剣の先 に目を付け其れより敵の二の?を見はなすべからず。
三 に切処 とは、太刀の当所切坪をはずしては如何。
四 に程 とは、敵に我太刀を打付る事は矢の如く、又引く所は用なるべし。是を以て程と云へり。
五 に玉歩 とは、玉の歩みなり。其心 に違わず四方を面と心得て、身成を尋常につかう処をげいといへり。
此の條初手の本文ナリ。
一、中手の趣キ、一 に見所、二 に誥(こう・つげる)所、三 に勝所、是也。
一 に見処 とは、何方をも打捨て敵の太刀の物打所、我目を付んこと、月鏡の如し。
二 に誥(こう・つげる)処とは、敵の剣の死の位に落ちつつ者堤の水を放が如懸可し。
三 に勝処 とは、一心ゝゝ一眼に留たり。為二臆一不可(臆すべからず?)吽フ。
極意の位 に至ては、一 に相所、二 に不合処。此の二甚(はなはだ)深也。可稔す。
一 に合処とは、敵の太刀吾が太刀切縮所掌(たなごころ)以て勝つ可し。
二 に不合処とは、心と眼と左足を以て勝つ可し。是三に一つも外れては勝ち難し。
又云勝間敷処を闘す是れ無手の根元也。勝つ可き処を勝不、是臆病の根元也。
在々書記す文の書、後世の我等愚鈍の如く為、陰之流私と号す。
努々他見有不可仍(よる)如件。
愛洲美作入道宗通
同源 常通 同主膳在通